2011年5月23日月曜日

東北差別から東北自立へ

〇戊辰戦争
奈良・平安時代以降、征夷大将軍と称して、東北は「夷」、つまり未開の国、外国とみられ征伐される。坂上田村麻呂によるアテルイ征伐、源頼朝による奥州藤原征伐がその例である。そして、戊辰戦争(明治元年(1868)-2年(1869))で、東北は旧幕府軍として、薩摩藩・長州藩を中心とした新政府軍と戦い、敗れ、賊軍となる。新政府から、東北は排除され、薩摩藩・長州藩を中心にして急速な近代化が進められた。その影響は、未だに残っている。敗れた東北は、差別された地域となり続けている。

〇歴代首相の出身県
東北=4人のみである。東日本(北海道、東北、関東、新潟、山梨、長野、静岡)=18人、西日本=40人。西高東低、東北は論外。岩手県以外では、首相を輩出していない。首相になれば、我が田に水を引く気持ちになるのは当然であるし、実際そのようにされていると思われる。我々が良く耳にすることが、『政治と鉄道』(Wikipediaに書き込まれている。東北新幹線の開業年は1982年、東海道新幹線1964年開業から18年後である。そして2010年に28年かけてやっと青森に辿り着いた。山陽新幹線の開業1972~1975年に比べても、10~35年も後である。

〇交流電源周波数
 交流電源の周波数は、東日本50Hz、西日本60Hzであり、西日本が2割増しである。工場等モーターを使う生産の現場では、60Hzが有利である。
違いの理由は、当時の東京電燈が50Hz仕様のドイツ製発電機を導入し、大阪電燈60Hz仕様のアメリカ製発電機を採用したことである。第二次世界大戦直後に復興にあわせて周波数を統一するという構想があったが実現しなかったようである。なぜ、政府は統一しなかったのか。ここに政治的な意図は働いていないのか。交流電源周波数でも、東日本、東北は差別されている。

〇医師数
下図を見ていただきたい。明らかに西高東低である。日本の医療政策のバランスが崩れている。

〇宮城県知事・仙台市長の逮捕
 19865月、アメリカ通商代表部のクレイトン・ヤイター代表が関西国際空港プロジェクトの国際公開入札を要求した。19885月には、日米政府間で「大型公共事業への参入機会等に関するわが国政府の措置について」合意(外国企業が日本の制度に習熟するために、関西国際空港を含む17のプロジェクトに特例措置を講ずる等)。しかし、アメリカの建設業者はなかなか仕事を受注できなかった。そして、19934月には、米国通商代表部が建設サービスの調達について、日本を対米差別国と認定し、差別的慣行を撤廃しない場合は、対日制裁措置を発動するとの構えを見せ、その直後、同年6月、石井亨仙台市長が大手ゼネコンから1億円収賄の容疑で逮捕され、さらに、10月、本間俊太郎宮城県知事も収賄の容疑で逮捕された。これは、単なる偶然であろうか。東北が、アメリカからの制裁発動に対する犠牲になったとしか思えないタイミングである。なぜ、集中して2件も東北・宮城県なのか。談合は、全国どこでもうわさのあることである。全国どこの県でも逮捕できたはずである。東北差別である。
そして、ついに、1994年、日本政府は「公共事業の入札・契約手続きの改善に関する行動計画」を発表し、90年以上続いた指名競争入札制度が事実上崩壊し、1986年からの要望が達成された。
 アメリカの利益達成のために、東北が犠牲になったこと、そしてもう一つ、<アメリカは自国の利益のために何でもする>のである。イラク戦争の事例も日本国民は知るべきである。アメリカは、イラク戦争を仕掛け、イラクを壊滅的に破壊したが、その復興事業は、迅速で効率的な対応ができない国連ではなく、米英が中心となって行なうと公言(The Sekai Nippoして憚らないし、復興事業の大半を米国企業が受注しているようである。米国が破壊し、米国が金儲けをしているのである。
「談合は悪だ。だから、透明性を高めるため、公開入札にすべきだ」と踊らされたのは、日本国民とマスコミである。アメリカは、日本のために公開入札を主張したのではない。アメリカ企業の利益のために主張したのである。そのことはイラクの復興事業で証明された。アメリカが、本当にイラクの復興を願うのであれば、この復興事業こそ、国連による国際公開入札で行なうべきであった。

〇原発について、
 なぜ、東京で使う電力を東北、新潟でつくらなければならないのか。東京の電力を福島、新潟の原発でつくっている。福島第1原発6基・469.6万キロワット、福島第2原発4基・440万キロワット、柏崎刈羽原発7基・821.2万キロワットの合計17基・1,730.8万キロワットである。つまり、東京電力の発電量6,500万キロワットの約27%を福島、新潟でつくっている。送電ロスは、距離に比例する。つまり、遠くなればなるほどロスが大きくなり、近ければ近いほどロスが少ない。なのになぜ、わざわざ東京電力の供給地域外の福島、新潟に原発をつくり送電する必要があったのか。危険極まりないものと認識していたがゆえに、ロスを無視しても遠くにつくったのである。福島第1・第2原発、柏崎刈羽原発とも東京から約250km離れている。250km程度離れていれば、原発事故があっても放射能の影響は薄まると判断したのだ。まさに、東北差別である。そして今、東日本大震災による原発事故が発生し、東北、福島の人々が犠牲になっている。

 今回の地震で、海外から被災者の対応が称賛を受けている。『壊滅的な被害を受けているのに、不満も漏らさず、冷静に対応し秩序が保たれている。』『日本人は辛抱強い。』『足にけがをしているのに、救急隊員に迷惑を詫び、他の被災者を案じる思いやりがある。』。これらの評価は、東北人に対する評価である。
日本人は農耕民族である。土を耕し、種を蒔き、芽が出て、成長し、花が咲き、実を付ける。これを1年のサイクルで繰返し行なう。失敗すれば、やり直しは利かず収穫なし。やり直しには次の1年を待たねばならない。土の状態、天候などを見ながら、毎年経験を重ね、我慢しながら創意工夫を重ね何年かをかけて満足のいく収穫を得る。日本人は、もともと我慢強い民族である。既述したように、それに加えて東北は、何千年と虐げられてきた、差別されてきた地域である。そのことが東北人のDNAに染みついている。刃向かっては逆にやられると思い耐えている。仙台に100万石の城下町を築き、スペインとの通商を企図し慶長遣欧使節団を派遣した伊達政宗でさえ、徳川に遠慮し仙台城に天守閣を造らなかった。
しかし、大きく失った今、世界から称賛を得ている今が、東北7県独立のよい機会である。耐えるだけ、称賛を受けただけでは前に進まない。自分自身、将来のある子ども・孫たちの幸せのため、もっともっと自己主張をしてもよい。自己主張しなければ、被災者が想う復興は実現しない。津波被災の悲しみと福島原発への怒りを東北自立(独立)の力へと変える時である。

新しい未来の東北をみんなでつくろう!



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